彼女が相談にやってきたのは、ちょうど10時頃だった。特に慌てて様子もなく、どちらかといえば余裕のある表情に思えた。
彼女というのは主力事業部のサービス担当の、顧客からもとても評判がいい。
主力事業部は、最近、中期計画が策定されて、今後の取組みや計画を発表したばかり。その計画策定には、現状の分析からかかわり、その内容をよく理解していた。
彼女は、その中期計画の内容と現状にギャップがあることに腹が立ち、現場で起きている問題や課題に、会社自体の取組みが甘いことと、その対応が遅いことをなんとか改善したいのだと説明をしてくれた。
とても前向きで積極的な提案であって、彼女の言う通り、次から次へと改善と新しいアイディアを積み重ねたいと、私も熱く語ったことがあったが、このところはどうもご無沙汰してしまっていたようで反省もした。
途中、自分の考えに偏った発言が目立つようになり、それはちょっと違うと思うなどと口を挟みたくなったが、ここはとにかく耳を傾けることに専念して、最後まで彼女の話を聞き通してみた。
次第に、同僚など周りの人とのリズムのズレや、提案をしても上司とかみ合わない不満など、次第に彼女の不満もはっきりと口から出てきた。
それでもこのまま聞くだけでいいのか、ここはカウンセリングの場でないだけに、そろそろどうしたものかと頭をよぎってきた。そこで、そうだどこかで彼女の話をまとめて、今後どうしたいのかという点にも触れようと考えた。
ちょうどタイミングよく話が一段落したところで、「すると○○さんは・・・・」と、彼女の話をまとめてみた上で、もしかしてこうしたいのかな?と聞いてみた。
だいたいのところはその内容で確認ができ、彼女の提案を実現に向けた方策をいくつかこちらから提案し、彼女も簡単な企画書にまとめて、再度相談をしたいと席を立った。
帰り際、「とってもスッキリしました」と言ってくれたが、我慢して話を聞いてあげてよかったとほっとしたところ。
社内の意見や提案を拾い上げる制度があり、その担当でもあるから、こうして私のところに知らせてくれたのであるが、直属の上司他、根回しもしっかりした上で彼女の提案を報告し、みなと共有してこれについて相談ができるような場を作るのが私の役割となる。
それはよしとしても、彼女のように現状を改善しもっと顧客に喜ばれる、もっと素敵な会社にしたいという意欲を消すことのないように勤めなければならない。
問題ばかりをあげつらっていた点を少し反省しつつ、皆で何ができるかと挑戦することでモチベーションをあげることができないものかと考えるようになった。
よく話を聞き、まとめ、共感し、確認して次の段階を示唆できた、そんなところは産業カウンセリングで学んだことが役に立ったように思った。
◆人事考課にバランススコアカード_2008.09.22
夏に決算で1年を締めくくり、各部署、いよいよ人事考課の結果がまとまる時期となる。
まとまるといっても、まぁ結局のところ時間が解決になるわけだが、どこも大小さまざまいろんな問題でスッキリするにはなかなか1度ではすまないようだ。
人を評価することの難しさと感情が錯綜して、毎年のことながらいろんな意見が飛び交う。
今回も、あるマネージャーは、部下の評価に対して、報告した役員との評価のズレがかなりあったらしく、お互い歩みよれない状態から、次第に、人事制度そのものへの不満や問題提起と話しが盛り上がり、すり合わせにはだいぶ時間が必要のようであった。
話しを伺っているうちに、ひょうんなことから、あるアイディアが突然思いついた。
それは、その人事考課のフォーマットを、バランススコアカードの4つの視点でカテゴリーを分け、そのカテゴリー別に評価をするということである。
バランススコアカードというのはひとつの経営手法のことで、社内でもそのマネごとみたいな程度のことは取り入れているが、経営全体のバランスをとりながら具体的なアクションプランを定めて経過、あるいは結果を見定めていくやり方は結構、大切なことが語られている。
特に、そのバランスの見方が、財務の視点、顧客の視点、ビジネスプロセスの視点、そして、学習と成長の視点とバランスよく観察する考え方がすばらしい。
そこで、人事考課もこの4つの視点で、業績の貢献度、顧客の評判、ビジネスプロセスの品質、知識や技術を学ぶ努力をしたかどうかなどを、以前の自分と現在の私を比較してどうかと評価するのだ。
自分で言うのもなんだが、これはなかなか具合がいいと思うところなのだが、どんなもんだろうか?
少し時間をおいて、改めてこれについて検討しているのだが、企画書にまとめてみようかと、ますます意気込みが熱くなるが、チョットマニアックすぎるであろうか?
しかし、人事考課の結果で悩む人、評価に納得いかない、制度的に問題があれば、指をくわえて観ているわけにはいかないと、産業カウンセラーの立場でも考えてみたいところである。
◆アクションリサーチについて_2008.07.18
産業カウンセリングの資格を、勤務している職場ではどのように役立てることができるか?資格を取得した時から考えていました。
社員の一員であることから、直接カウンセリングを実施するにはもちろん問題があり、ましてや成り立たないわけですが、それでも所属するマーケティング室では、時折、カウンセリング的な相談内容に瞬間切り替わることもままありました。
そういう意味では密室の相談室という一面もあるのですが、組織の縦ラインとの絡みもあるだけに、あまり踏み込むわけにもいきません。
たまたま、他の役割で月に1度は社内の各部署を回るのですが、この機会をアクションリサーチの場として捉え、移動相談室とばかり現場に赴き、組織や集団の諸問題の発見、原因や解決に向けた提案などに取り組もうと考えたわけでした。
ここまでたいしたことはできなかったのですが、それでも、心身症ではないかと心配したスタッフが病院に行くことを進めてすっかり回復されたことや、部署の問題を全社の仕組み上の問題と捉え、経営側に提案したこともいくつかあり、それなりの貢献もできました。
さて、今月は決算月であるだけに、来期はこうしたアクションリサーチにどう取り組むべきかと検討をしています。
その中で、今まで部署をひとつに捉えていたところを、もう少し小さなチームにわけて、その中への働きかけに取り組んで、より細かく幅広く取り組んでみようと検討を始めてみました。
今、ひとつあまって、その使い方を思案していた小さなシステム手帳を取り出し、社内の各部署ごとのメンバー表と、社員のアドレス帳をセッティングして、チームとメンバーの顔と名前、それぞれのちょっとしたプロフィールなどを正確に記録して手元に置くことからまずは始めてみました。
こうして、コミュニティ・アプローチで現場とのかかわりを大切にしてみようと思っています。
勤務している職場では、例年以上の忙しさが続き、社内の様子も疲弊の色が濃くなっていました。
「現場を見ていない」「意見が通らない」「改善の提案をしてもうやむやになってしまう」「マネージャーは部下の気持ちをわかっていない」などと、ギクシャクとした面も浮き彫りとなり改善が求められていたというわけでした。
上司と部下とのコミュニケーションが不足している一面も伺えるところからであろう、今回、経営者側が用意したマネージャー研修は、そんな職場での良好なコミュニケーションについて学ぶ機会を提供してくれました。
研修の中で、問題や課題はいろいろあるわけですが、その中でポイントとなったひとつに自己表現の不備不足が上司にも部下にもあって、それがコミュニケーションに悪影響を及ぼしている側面があるのではないかと感想を持ったものです。
すると、講師から提供された資料の中には「アサーション」についての説明があり、なるほどなぁと、そのタイムリーさにも驚きました。
私は、この「アサーション」について、言いにくいことをしっかりと伝える表現のことのように大雑把に理解していましたが、本来の意味は「自分も相手も大切にした自己表現」とその資料には説明がありました。
その他、コーチングやカウンセリングの傾聴の技術などにも触れられていましたが、傾聴ひとつとっても、実際にはトレーニングなどそれなりに必要で、日常のやり取りの中の大切なことは、こうしたアサーションの定義ではありませんが、自分も相手も大切にする自己表現が良好なコミュニケーションには必要であると思ったものです。
簡単な取り組みとしては、いわゆるクッション言葉などを上手く挟んだり、言いにくいことや反対の意見を言う際には「私はこう思うのですが、どうですか?」などといった投げかけ方なんかは、今すぐできることのように思え、積極的に利用してみようと思ったものです。
メッセージをきちんと伝える、誤解を生まないためにも、相乗効果を生みだすためにも、意識的に取り組んでみようと思ったわけでした。